20200505 バックヤード|コレクション

はじめまして、グラフィックデザイナーの菊地です、
バックヤードという屋号でいろいろやってます。

グラフィックデザインって、まぁいろいろ種類あると思うんすけど、
私が日々、日常にあるデザインを見るときに意識しているのが
「これを作った人がいるのだ」ということです。

例にあげるとですね、
缶のリングプルの形状、爪楊枝のつまむところの彫り加減、
ネギに巻いてある紫のテープ、駐車場の「P」の書体…
ま、普段意識しない部分にも(機械がやってるにしろ)、
どれも人の頭で考えたこと、人の手から産まれてるんだよな…
と考えるだけでジューンとなるわけです。

数年前まで書道の半紙のパッケージを集めていました。
最小限の色数(1色~2色)で施されたグラビア印刷による最小限にシンプルな印刷構造と、
そこに載っかる「それっぽさ」満載の商品名。もはや叙情詩ですよ。やー、最高です。
んで、実はけっこう種類が豊富なのです。



上の写真はコレクションの一部を抜粋したものですが、
例えば「天下一」「横綱」とかいちいち仰々しくていいんですよね、商品名が。
「高級」「特選」など、うるさ~い言葉の網羅もその相乗効果で
「なんかすごいかも!」と思わせるパワーが半紙のパッケージには宿っています。

他にも「白姫」なんかは、「墨付きがよく書きよい」というボディコピーが
入ってるんですけど、この商品名と相まって独特のエロスを感じさせますよね。
しかもこの半紙、白というよりは若干アイボリーががっていて、そのツンデレ感がまたいいですよね。

「鹿笛」はレアです。普通書道なんだから墨文字なんですけど、コレ紫なんですよね、文字が。
半紙界のディープパープルですよね。…… みなさん、ついてきてくれてるでしょうか?

私はこの半紙のパッケージを紙ジャケ(!)と呼んでおり、
「いい紙ジャケだな…」と思ったらジャケ買い(!!)してました。
未だに地方の文房具屋などでは現在も熱い紙ジャケ、多いっす。
文字数が許されるなら全作品のレビューも可能なんですが、今日はここらへんで。

さて、前述の通り「集めていました」と過去形になっているのは、
最近は効率化か何なのか、商品名であり最大の武器である筆文字も
フォント化しているものが増えてしまって、
ちょっと時代の流れを感じたため以前よりも熱くなりにくくなりました…
音源がレコードやCDからサブスクになったのと同様の、いかんともしがたい虚しさです(違う)

いずれにしろグラフィックデザインは着眼点ひとつで感動できる代物になり得るんだぞ、どや!
というお話でした。

(バックヤード 菊地)
つぎの日記は永井ミキジさんです



バックヤード / Bells Tシャツ
¥3,300 税込




◼️書いた人



バックヤード(菊地 和広)
グラフィックデザイナ一
thebackyard.biz