20200506 永井ミキジ｜シュシュシュシュ、シュシュシュシュ

スーパーで夕飯の買い物をする。
ティッシュやトイレットトペーパーは店頭で見るようになった、
マスクも高いが店頭に並びはじめた。
ウェットティッシュはまだ気軽には買えないか……
店内を観察しながら食材をカゴにいれレジに向かう。

店員が座りこみ急いでダンボールを開け陳列作業をしている、
何を出しているのだろう？　
のぞき込むとファブリーズ除菌スプレーだった。

陳列と同時にボトルは客のカゴの中へ。
あっという間になくなり詰め替え用が残りわずか、
まったく買う予定のない自分もなぜか気がはやった。
家にファブリーズの空きボトルがあったはず……
ないよりはいいかと一つカゴに入れた。

帰宅し洗面所へ、ボトルのノズルをはずし詰め替え用の封を切った。
中を覗くとまだ前のものが少し残っている、
まあ、あふれはしないだろうと一気に注ぎいれた。

その夜、就寝前に外出した衣類を除菌しようと
詰め替えたばかりのファブリーズを吹きつけると泡が、
ん？　右手を見るとなぜマイペットのボトルをもっていた。

いかんいかんと洗面所にいくと、もう一つ同じマイペットが……。
ん？ん？　目の前に中身が同量のマイペットが2本と中身のないファブリーズのボトルがあった。

マイペットが残り少なかったから新しいのを購入していたみたいで
少し残っていたボトルに詰め替え用のファブリーズをいれてしまったようだ。

どちらのマイペットも吹きかけると同じ泡が出る。
シュシュ、こっちの方が泡が少ないか、シュシュ、いやこっちの方が少ない…
シュシュ、いやこっちの方が匂いが、シュシュ、いやこっちの方が……
シュシュシュシュ、シュシュシュシュ……

もうどっちがどっちかわからない！

どっちで何を拭けば良いいのかもわからない。
本来のマイペットの存在も信用できなくなってきた。
もうどっちも捨ててしまいたい。

だがそういうわけにもいかず
今は2本のマイペットを交互にかけて拭き掃除をしている、
とてもめんどうな作業である。